マグ万平 × SHIGARAKI SAUNA対談「わざわざ行きたくなる地方サウナの条件と、信楽の未来」
2026.04.24
お知らせ

SHIGARAKI SAUNAにて、サウナ大好き芸人・マグ万平さんをお迎えし、当施設の支配人 奥野と対談を行いました。
やわらかく湯気が立ちのぼるこの空間で語られたのは、地方サウナの魅力、冬にこそ楽しみたいサウナ旅、信楽の土に抱かれる「アースバッグサウナ」、そして「お茶×サウナ」の可能性。

単なる施設紹介にとどまらない、“信楽という土地そのものの魅力”に迫る濃密な時間をお届けします。


マグ万平に聞く、地方サウナと冬旅に関する「5つの質問」

支配人 奥野:
本日はよろしくお願いします。まず最初に、事前にご用意していた「5つの質問」からお伺いさせてください。 1つ目ですが、万平さんが全国の施設を見られてきた中で、わざわざ遠方からでも行きたくなる地方サウナには、どんな共通点があると感じますか?

マグ万平さん:
サウナ室やストーブ、水風呂の作りといった“ハード面”のクオリティももちろん重要です。でも、記憶に強烈に残って「また行きたい」と思う施設に共通しているのは、圧倒的に“ソフトの部分”なんですよね。 誰が、どういう思いでその場所をつくっているのか。どんな気持ちでサウナを温めているのか。サウナ好きは無意識のうちに、その“人”を通して味わうサウナ体験を探しているんだと思います。

支配人 奥野:
なるほど。では2つ目の質問ですが、そうした「人の熱量」をフックにして、サウナで地域活性化がうまくできている街の事例などはありますか?

マグ万平さん:
一番わかりやすいのは、長野県信濃町にある「The Sauna(LAMP)」さんですね。 人口減少が進んでいた町に、東京から来た若い世代が土地に惚れ込んで、小さなログサウナからスタートした。今では日本を代表するアウトドアサウナの一つになっていますが、大事なのは「サウナ施設だけが儲かっているわけではない」ということです。 お客さんが宿泊して、翌日に町のお蕎麦屋さんや定食屋さんに立ち寄る。そうやって街全体で回遊が生まれて、お金が落ちる構造ができている。若い世代の移住も増えていて、すごく美しいモデルケースだと思います。

支配人 奥野:
施設単体ではなく、街の中を巡ってもらう流れができているんですね。それが3つ目の質問である「サウナは観光のきっかけになるか?」の答えでもありますね。

マグ万平さん:
そうなんです。目的はサウナかもしれないけれど、結果としてその土地そのものを好きになって帰っていく。そこがサウナの持つ大きな力ですよね。

支配人 奥野:
それを踏まえて4つ目です。地方観光において冬は客足が減りやすい時期ですが、冬のサウナ旅のポテンシャルについてはどう思われますか?

マグ万平さん:
むしろ、冬こそサウナの「ハイシーズン」だと思います。 寒いから裸になるのはつらそうと思われがちですが、冷たい外気があるからこそ、温まる気持ちよさが格別になる。世界的に見ても、昔から蒸気浴の文化が根づいてるのって、寒い地域に多いんですよね。

支配人 奥野:
冬の寒さというネガティブな要素が、サウナを通すことでポジティブな価値に大逆転するわけですね。最後の5つ目の質問ですが、万平さんにとって冬になったら行きたい町って、どんな町ですか?

マグ万平さん:
空気がピーンと澄んでいて、星空が圧倒的にきれいに見える町。そして何より、冬ならではのご飯が美味しい町ですね。お肉も海鮮も鍋も、極限まで感覚が研ぎ澄まされたサウナ上がりだと何倍も美味しく感じますよね。 「冬の最高の食と景色を味わうためにサウナへ行く」という文脈ができたら、ものすごく強い観光のフックになるはずです。信楽の冬にも、その魅力はたくさん詰まっていると思います。

信楽の土に抱かれる、関西唯一の「アースバッグサウナ」

マグ万平さん:
魅力といえば、さきほど「地方サウナの魅力はソフト(人)にある」と言いましたが、もちろん空間そのものの力も大きいです。SHIGARAKI SAUNAさんといえば、関西でここでしか入れない「アースバッグサウナ」ですよね! 信楽の土を使って作られていると聞いて驚きました。

支配人 奥野:
そうなんです。信楽は焼き物の町、つまり「土」の町ですから。地元の土を袋に詰めてドーム状に積み上げていくアースバッグ工法でサウナ室を作りました。

マグ万平さん:
サウナ室そのものが信楽の土でできているなんて、まさにこの土地でしか味わえない体験じゃないですか! それって地域の発信としても最強の武器になりますよね。

支配人 奥野:
ありがとうございます。土の壁は非常に蓄熱性が高くて、熱の伝わり方がすごく柔らかいんです。まるで信楽焼の窯の中に入っているような、そんな特別な温まり方を感じていただけると思います。

マグ万平さん
最高ですね……! その土地の土からできたサウナ室で汗をかいて、その土地のお茶でロウリュをして、その土地の美味しいものを食べる。完全に信楽を“丸ごと”味わい尽くす体験ですね。

実際に味わった“お出汁のようなお茶”と、温度の哲学

支配人 奥野:
まさにその信楽ならではの魅力を、お茶を通しても感じていただきたいんです。(淹れたてのお茶を差し出しながら)ぜひ、口の中で転がすように飲んでみてください。

マグ万平さん:
(一口飲んで)……すごいですね。とろみがある。 お出汁みたいな旨みがあって、余韻が凄まじい! 映画みたいにストーリーが口の中で展開します。

支配人 奥野:
良いお茶ほど、見た目は透明に近くても、飲んだときの濃度がしっかりあるんです。甘みの部分だけをうまく引き出せると、鰹や昆布の出汁のような感覚になります。ここにさらに熱いお湯を入れると、今度は渋みや輪郭が出てきて、また全く違う表情になるんですよ。

マグ万平さん:
お茶も、温度で香りや甘みがかなり変わるんですね。僕は普段コーヒーの焙煎もするんですが、温度の違いの面白さにはすごく惹かれます。ただ商品として置いてあるだけでは、この感動は絶対に伝わらない。こうして会話をしながら振る舞ってもらうことで、急に価値が跳ね上がりますね。

支配人 奥野:
いい煎茶ほど「湯冷まし」をして、80度以下にお湯を冷ましてから淹れます。熱湯だとカテキンなどの渋み成分が一気に出てしまいますが、適切な温度だと「テアニン」という旨みや甘み成分だけがしっかり引き出せるんです。 この“温度を読む感覚”って、サウナ好きの方がサウナ室や水風呂の「1度の違い」にこだわる感覚と全く同じなんですよ。

マグ万平さん:
確かに! サウナーの温度への執着は異常ですからね(笑)。

支配人 奥野:
もっと言うと、信楽は標高が高いので、気圧の関係でお湯の沸点が95度までしか上がらないんです。

マグ万平さん:
ええっ!? 標高で沸点が変わる環境で作るお茶とサウナ! それは究極の「温度の哲学」ですね。面白すぎる!

「ととのう町、しがらき」。ライバルではなく、町全体で勝つ

支配人 奥野:
昔の日本には、今でいうサウナのような「蒸し風呂」の文化があり、茶葉や海藻などを蒸した蒸気が満ちた小屋に入り、汗を流してお茶を点てていたそうなんです。だから「お茶とサウナ」は歴史的に見てもすごく密接な関係があります。 私たちはそうした文脈を、信楽という町全体で作っていきたいんです。

マグ万平さん:
なるほど。

支配人 奥野:
最近は石川県加賀市や佐賀県武雄市のように、行政がサウナの力を理解して動いている町が強いです。私たちも、SHIGARAKI SAUNA単体で勝とうとは思っていません。 実は今回、施設名以上に「ととのう町、しがらき」というキャッチコピーをメインのロゴにしたんです。このロゴやノウハウは、町内の他の施設さんや飲食店さんにもどんどん使ってもらいたいと思っていて。

マグ万平さん:
えっ、自分たちだけで囲い込まないんですか!?

支配人 奥野:
はい。観光客の方が来て「信楽って町全体でサウナ推しなんだな」と感じて、あちこち回遊してくれたら最高じゃないですか。サウナを入り口にして、信楽の冬の景色、器、お茶、そして人の魅力に触れてもらう。それが私たちの目指す姿です。

マグ万平さん:
凄すぎる……。完全に利他の精神ですね。 信楽という街自体が、お茶、そば、焼き物、豊かな自然と、すでに魅力にあふれています。SHIGARAKI SAUNAを通してこの街を“面”で知ってもらう流れができたら、すごく強いと思います。

信楽だからこそできる、“お茶ロウリュ”の未来

マグ万平さん:
お茶ロウリュ自体は全国でも少しずつ増えていますが、本当の「お茶の産地」で、お茶に精通したプロがサウナに向けて温度や焙煎、抽出の仕方まで研究している例は、まだほとんどないはずです。 どの温度帯で香りがどう立つのか、ストーブの石の表面温度に対してどの抽出が合うのか。「朝向きのロウリュ」と「夜向きのロウリュ」で焙煎を変えるとか。

支配人 奥野:
たしかに! それは産地であり、お茶のプロである私たちだからこそ試せる領域ですね。

マグ万平さん:
そこをしっかり旗を振って突き詰めていけたら、日本のサウナ文化として一段上の発信になると思います。信楽だからできることだし、ぜひ一緒に面白いものにしていきたいですね!


おわりに

今回の対談を通して改めて感じたのは、SHIGARAKI SAUNAが目指しているものは、単にサウナ施設をつくることではないということです。
サウナをきっかけに信楽を知ってもらい、お茶や食、文化や風景にも触れてもらう。そして、この土地そのものを好きになって帰ってもらう。
そんな体験の入口として、これからもSHIGARAKI SAUNAならではの取り組みを深めていきたいと思います。

マグ万平さん、熱く、そして深いお話を本当にありがとうございました!

マグ万平


1984年8月7日生まれ、福岡県出身。年間約350回サウナに通うサウナ好きとして知られ、イベントやトークライブを通して魅力を発信。サウナ関連資格も多数持ち、料理や燻製、魚の三枚おろしを得意とする。親しみやすい語り口で、多くのファンに支持されている。

支配人 奥野


SHIGARAKI SAUNA支配人。アースバッグや古民家再生、サウナ、音楽、アートなど、自分が面白いと思えるものを大切にしながら、信楽の魅力をこの場所から届けている。訪れた人に、この土地ならではの体験を届けている。